ここでは一日動くと数日間動けなくて寝込んでしまうなどの症状(後に慢性疲労症候群と診断)で、長い間苦しんで来られた方(Nさん 女性 当時54歳)がある程度の日常生活を送れるまでに回復した症例を報告します。
私は自分の病気を治そうとしていた時(2008年~2011年くらい)に、甲田光雄先生の治療法をされている方々が集っているインターネット掲示板に参加していたのですが、Nさんもそこに居た方でした。
それがきっかけで治療をさせていただくことになりました。
「たすけて」というメッセージ
2012年5月頃、私は本当に身体が良くなって念願の自然農の田畑と治療家として独立を始めたところでした。
ある時暫く離れていた掲示板を久々に覗くと、「たすけて」という文字があったのです。
それで直接連絡を取ってみたのです。
メールでやり取りをすると、Nさんは身体が動かず横になった状態でキーボードの文字を打っていると。
以前、西式甲田療法に出会って1日2食を厳格に3カ月実行したところ、羽が生えたように身体が軽くなったということでした。
でも食事療法の内容が厳しいし、家族の理解もない。
一人ではなかなか続けられなくて、食べるとまた症状が戻ってしまって動けなくなる。
やったら良くなるのは分かっているけど、できない。
それで「甲田療法を一緒にやって欲しい」というお話がありました。
一緒に食事療法を始める
そう言った経緯があって、電話で毎日連絡を取りながら一緒に1ケ月食事療法をすることになったのです。
Nさんには基本通りに1日2食で行ってもらい、私は1食にすることにしました。
私の方が厳しいことをやることで、Nさんを励まそうと思ったからです。
その甲斐あってか1ヶ月経つ頃にはNさんは少し動けるようになってきました。
Nさんは私の治療を受けたいと言われました。
まだまだ体調が良くないので心配しましたが、本人がどうしても受けたいと言うことで東京から当時の私の住まいの三重県まで来られることになったのです。
私は当時、出張治療で自分の治療部屋がありませんでしたが、友人が「部屋を使っていいよ」と言ってくれたので、そこをお借りして治療することになりました。
辛さを理解されて涙を流された
まず、Nさんの腹部の状態を触診してみました。
すると、腹大動脈が異常にガチガチになっている他、胃、肝臓、大腸も硬くなっていたのです。
それで私が「これは大変でしたね」と言うと、涙を流されました。
恐らくですが、今まで誰にも分ってもらえなかった辛さを理解されたことで気持ちが緩んだのだろうと思います。
現代医学は触診をしません。
触診だけでなく、その人の状態を細かく診ようとするお医者さんは今はもう少ないのではないかと思います。
人を数値だけでは測れません。
お医者さんが分からないし的確な診断をできなければ、そのお医者さんのいうことを信じる家族も理解ができません。
Nさんは家族から「怠け者」とも言われていたようですから、それは辛かったと思います。
その後、Nさんの東京のご自宅まで私が出張して治療を継続することになったのでした。
それではこの続きはまた次回に。