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田んぼの問題に向き合う村人たち フィリピンでの体験

2023年06月07日

ここではフィリピンに滞在中に感心したことについて書いています。

 前の記事 若者が政治について真剣に話し合っていた

ある時、私はR君の村の田んぼについての話をみんなでしていました。

彼らの田んぼの稲は分けつ(イネ科などの植物の根元付近から新芽が伸びて株分かれする事)を殆どしておらず、3本くらいにしか分かれていませんでした。

これには正直唖然としました。

何故なら私自身が稲作を自然農でやっていたのですが、苗の1本植で20から多くて40本ほどに分けつしていたからです。

三重でやっていた時の稲の様子(根元で分かれています)

 当時のブログはこちらから

それで、何故田んぼがあんな状態になっているのかを聞いていたのです。

聞くと、今はお米を三期作で栽培しているとのことでした。

要するに、年に三回同じ田んぼで稲を栽培しているということです。

そんなことをすれば土地が休めないから、それで収量が減っているんじゃないの?と聞くと、「昔は二期作でやっていた」と言うのです。

三期作になった理由は大きく2つあるようでした。

これは私と確か同じ年の男性が話したことです。

「90年代のある時、田んぼに虫が大量発生したんだ。

その後にビジネスマンが来て、『このクスリを買え』と言ってきた」

そしてクスリを使うようになったということです。

もう一つ。

90年代頃までは苗を育てて田植えをしていたようですが、いつからかばら撒き(種籾を直に田んぼに蒔く)になったそうです。

そうすると作業としてはかなり楽です。

育苗も田植えもしなくて良いからです。

ですが、彼らの田んぼを見ると、ばら撒きだからか苗と苗の間が狭かったりということも気になりました(ばら撒きだから苗と苗の間隔にムラがでるのですね)。

こういったことが原因でか、年々収量は減って行った。

それを補うために三期作にしたが、土を休ませることができないため、全体としての収量は結果的に上がることがなく、困っているようでした。

農法(ばら撒き→田植え)のことはやればすぐに変えられるでしょう。

R君は「伝統の農法を取り戻さないといけない」と話していました。

ですが、問題はクスリです。

このクスリと言うのが「ラウンドアップ」というものです。

私は彼らにとても感激しました。

フィリピンの片田舎(かなりの、です)のファーマーたちが、それも20代、30代の若者たちが、この問題にしっかり向き合って話し合っていたからです。

この光景は、少なくともここ日本ではほとんど見られないものでしたから・・・

前回書いた、選挙について若者が真剣に話し合っているのと同じですね。

それではこの続きはまた次回載せます。

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