ここでは臀部(でんぶ)と鼠径部(そけいぶ)に痛みが出ている方の施術について書いて行きます。
一般的には坐骨神経痛、股関節痛と言われる症状です。
Tさん(女性・53歳)は歩いていた時に、右足を内側に捻じる動作をしたら痛みが走って歩けなくなってしまいました。
治療時には右足をかばって何とか歩いて来られたのです。
どこから痛みが出ているか?を調べる
●初診時の主訴
・何もしていなくても、右臀部の痛みが強い(自発痛)
・歩く時、鼠径部に痛みを感じる
(ともに2日前から)
※聞くと、以前から時々グキッと股関節周りを痛めることがあったが、直ぐに痛みは治まっていたのでそのままにしていたということでした。
Tさんの場合、何もしていなくても痛みが出ていて動きの検査を確認したりはできないので、まずは痛みを無くすことを目的とした治療をして行くことにしました。
その後、ある程度動けるようになったら更に原因を探していくことにしました。
股関節周りを触診して行くと、幾つか痛みが出る場所がありました。
①骨盤の坐骨付近で、軽く触れる程度でも痛みを強く感じる状態。
②次に、腰骨のすぐ下辺り。触ると痛みが出る場所がある。
(痛みの程度は①より小さい)
③太ももの裏の外側の筋肉。軽く押すと痛みが出る。
④鼠径部。触ると痛みがある。
ここでは自発痛が出ている①に関して、もう少し細かく観て行くことにします。
①は大腿方形筋、下双子筋、上双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、梨状筋からなる外旋筋群があります。
これらは、股関節を外に捻じる時に働く筋肉です(外旋六筋)。
恐らくですが、これらの筋肉に普段から負担がかかって硬くなっている(常に緊張している)ところに股関節を内側に捻じろうとしたために、この筋群が無理に伸ばされてしまって痛みが出たと考えられます。
これが自発痛の原因だと考えられます。
痛みが出ている場所を治療する
一般的には痛みを出している時(急性期)は患部を触らないことが多いようですが、触り方次第では治療ができます。
Tさんは①の患部を軽く触っても激痛を感じていたので、更に注意深く軽く触って緩めて行くと、痛みが少しずつ小さくなって行きました。
①をやりながら②③を少しずつ緩めて行くことで、Tさんは痛みが軽くなり、取りあえずは自分で動けるようになりました。
治療後に、何故そこに負担がかかるのか?をその時点での私の考えを説明して、次回からはなるべく再発しにくい身体づくりを目的とする治療をして行きましょうとお伝えしました。
それではこの続きは次回に書いて行きます。
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